樺樹皮文化:原始の自然と現代芸術の融合
ソース:人民網日本語版作者: 2021-05-25 09:59
ロングスカートに、温もりのある色合いのストールをまとい、カメラの前で落ち着いた様子ながらも少しはにかみながら話す陶丹丹さんは、黒竜江省無形文化遺産伝承プロジェクトの樺樹皮制作技術伝承者だ。陶さんのアトリエは、中国の東北地域に位置する黒竜江省黒河市のある現代的なショッピングセンターの中にある。こじんまりしたアトリエには、陶さんの樺樹皮工芸作品と収蔵品が並べられている。
樺樹皮文化は中国北方狩猟民族の伝統的な民間手工芸で、中国の非常に重要な無形文化遺産の一つだ。陶さんは満州族の家に生まれ、樺の木の樹皮に親しんできた。「私は幼い頃から樺の樹皮と接してきた。家には樺の樹皮を使った器がたくさんあった。私は内気な性格だったので、物を手作りするのが好きだった。その後だんだんと、樺の樹皮という素材はとても加工しやすく、私のような女の子にとっては、木彫りや木の根の彫り物より扱いやすいと思うようになった。そして大好きになっていった」と陶さんは話す。
樺樹皮工芸は決して習得しやすいものではない。天然の樺の樹皮はとても硬く、制作前に手で一層ずつ皮を剥ぐ必要があり、樹皮がやわらかくなって初めて手工芸品を作ることができるようになる。陶さんは、「樺樹皮工芸をするには、技が優れていて、仕事が細やかなことが一番の基礎になる。さらに重要なのは、一定の粘り強さと忍耐」と言う。そして、「制作にとても長い時間がかかる作品もある。小さいものだと数時間、2-3時間でできるがが、長い場合は数年かかるものまである」と語った。
23歳の時、陶さんは自分のアトリエを構え、もう20年余りが経った。樺樹皮文化を広めるために、陶さんは長く、苦労の多い道のりを歩んできた。「樺樹皮文化はポピュラーな文化ではないので、最初に作品を発表した頃は、知らない人も多かった。私が作った箱や筒、工芸品を見せると、『これは何で作ったの?紙?それとも竹?』と聞いてくる人もいた。そういう人には、この北方少数民族を起源とする文化を説明した」と言う陶さん。彼女はさらに、「10年前、中国の文化産業、特に無形文化遺産への重視度が高まるにつれて、ますます多くの人が樺樹皮文化に触れるようになっていった」と話す。
現在、陶さんはすでに黒竜江省無形文化遺産伝承プロジェクト樺樹皮制作技術伝承者となっている。陶さんは学校や住民コミュニティで無償のクラスを開き、各業界の人々に樺樹皮文化の歴史や工芸の基礎知識を伝えている。また、1人の教師としても、黒河学院で関連カリキュラムを開設し、樺樹皮工芸に関する少数民族伝統文化を教えている。
陶さんは、「樺樹皮文化は私の人生のすべて。でも、樺樹皮文化の伝承の道はまだ長く、一人や一世代で成し遂げることはできない。今後はもっと多くの人に樹皮文化を知ってもらい、理解してもらいたい。そして好きになってほしい」と話している。 (編集AK)
「人民網日本語版」2020年10月14日
編集:卢娜娜
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