三十歳、紀元前五二二年、魯の昭公二十年。「三十にして立つ」（『論語』為政）。思うにこの時よりすでに、修学、処世、為政などの堅実的な学徳の基礎を築き上げたのだろう。『史記』によると、この年の前後に教育活動を始め、弟子を集めて講義を行った。最初の弟子には、顔路、曾点、子路などがいる。

　斉の景公と晏嬰が魯に赴き、景公が孔子に「秦の穆公はどうして覇者となれたのか」と尋ねた。孔子は、「善を以て人を用いたからです」と答えた（『史記』孔子世家）。